遺言書を書かなかったばっかりに・・・

ご夫婦だけれども、その両方について子供がいません、という方もお出でだとは思います。

少々まだるっこしい書き方をしたのは、そのご夫婦の片方の方が前婚の子がいたりすると話が変わってきますので、という意味合いも入ってきます。

さて、この場合、遺言書を書かないで、例えば、相次いでご夫婦が亡くなってしまった場合、どういった事態が発生するでしょうか。

旦那さん名義で不動産をお持ちだったものとします。

ここで、例えばですけれども、そのご夫婦の方の兄弟姉妹の子供、つまり甥姪に、その不動産を含めて遺産を受け取ってもらいたいと思っていて、そのご夫婦が元気だった時に、その甥か姪に話をしていたものとします。

ここでは、旦那様の甥の方に話をしてものとしましょうか。

ですが、話だけはしていたのだけれど、結局遺言書を作成することなく、旦那さんが先に亡くなったものとします。

その時点では奥さんは生きていたので、奥様が不動産の4分の3、旦那様の兄弟姉妹が4分の1を持ち合いすることとなります。

遺産分割協議を行うべきだったところ、なんと、数ヶ月後に奥様も亡くなりました・・・。

さて、こうなってしまった場合、不動産はどういう所有状態になっているのでしょうか。

はい、旦那様側兄弟姉妹が4分の1、奥様側兄弟姉妹が4分の3、ということになります。

じゃ、旦那様側の甥の方が、その不動産の所有者となるためにはどうしたらよいのかといいますと・・・。

ごくごく代表的なやり方としては、旦那様側の遺産分割協議でいったん法定相続人誰かの名義を経由して甥の方にするもののようです。

例えば、甥の親(つまり被相続人の兄弟姉妹)が一旦登記名義になればいいですかね。

もしも、その甥の親が死亡していれば、代襲相続で甥自身が遺産分割協議を経て相続登記をしてもらえる可能性もあります、という感じです。

さて、それから、ここが大切になってくるのですが、奥様側はどうするのでしょうか。

ココでポイントとなるのは、その甥は、奥様側の法定相続人にはなっていない、ということです。

従って、そもそも論で、奥様側の法定相続人調査、そして遺産分割協議そのものについて、奥様側兄弟姉妹とかにお願いする必要がありそうです(もちろん、兄弟姉妹の誰かが自発的に進めていく可能性もありますが)。

その奥様側兄弟姉妹にいったん相続登記をしてもらってから、その甥に贈与あるいは売買などといった形で所有権移転をするようです。

講学上は、旦那様側の遺産分割協議(不動産の4分の1)を経て甥が登記名義を取得してから、その奥様側の法定相続人が共有状態となっている段階で(しかも、この時点で法定相続の登記とするのかどうか、といった、登記技術上の課題もありそうですが、そこのあたりは司法書士が処理する分野となるでしょうから、ここでは詳細は問わないこととします)、奥様側の法定相続人に順次共有持分放棄をしていってもらう、という手もあるのかもしれません・・・が、ちょっとこれは人数が1人、2人でない限りは、現実的でないようにも思います。

同様の理由で、奥様側の法定相続人全員が、いわゆる相続放棄をする、という話もありますが・・・、こちらも3ヶ月以内に全員が家庭裁判所に申述してから、裁判官が決定してもらう、という過程になりますので、ちょっと現実感があるかどうか・・・。

といったところで、本記事では、このような不動産登記関連の話題をしたいのではなく、要するに、遺言書を書きましょう!ということなのでした。

旦那様が作成するのが上記例の場合は最も望ましいわけですが、少なくとも奥様が残された段階で甥に遺贈するという主旨の遺言書さえ残っていれば・・・。

もちろん、不動産登記自体は、当事務所の場合は提携司法書士に委託しています。

一般の方で誤解しがちなのが、法定相続人って誰ですか、ということと、最終的に誰に渡したいというのが法定相続人の一人なのかどうか、という点が、時としてゴチャゴチャになっていることです。

この前提を誤認識している事例が少なくありませんので、ぜひ、シミュレーションされることをお勧めいたします。

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ありがとうございました。