[5]遺言書をなくしてしまう可能性

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せっかく作成した遺言書、これが、いざという時に使われない可能性があります。

それを避けるにはどうしたらよいのでしょうか・・・。

本投稿では、この観点で記載したいと思います。

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本投稿記事も、ごく一般向けの方を対象に記載しておりますので、法令上の記載の忠実さよりも、話の大意をつかんでいただくことを優先しております、予めご了承ください。

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ごく普通の場合ですと、遺言書の作成方法としては、次の4タイプがあります。

①自分で遺言書本文を直筆で書いて、遺言書の保管も自分で行う。

 →これを「自筆証書遺言」と呼ばれています。

②自分で遺言書本文を直筆で書いて、遺言書の保管は役所(法務局)に頼む。

 →こちらも「自筆証書遺言」ではありますが、「遺言書保管制度」の併用です。

③他人(公証人)に遺言書を書いてもらって、遺言書の保管も役所(公証役場)に頼む。

 →こちらは「公正証書遺言」と呼ばれています。

④自分で遺言書を書いて役所で封印して、遺言書の保管は自分で行う。

 →こちらは「秘密証書遺言」と呼ばれています。

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このうち、自分で遺言書(原本)を保管するのは、①と④です。

ここで、「自分で保管する」という言葉の意味は、役所(法務局又は公証役場)では預かりません、ということを意味しています。

それなので、遺言書を作成した方が、誰か(とても信頼のおける友人や士業者など)に保管を頼むことはできます・・・、そういったことは役所では関知していません、という意味で「自分(責任)で保管する」というように書いています、と、ご理解ください。

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もちろん、「自分で保管する」という言葉のとおり、ご自宅に遺言書を保管していただいても構いません。

自分の書斎であっても、本棚であっても、非常用持ち出し袋であっても、仏壇等の中であっても・・・特に問題はありません。

特に、自分で書いた遺言書の場合は、遺言書の改ざんリスク(遺言を書いた本人以外の人が勝手に書き換える、あるいは、誰かが勝手に作成した!と言われるリスク)がありますので、要するに、あまり人目につかない方がヨシとされていることではあります。

でも、容易には見つけられないことを優先するあまり、なかなか見つけられづらい場所に保管してしまうと、それこそ、いざという時に発見されないという最大の問題点があります。

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それなので、先述したように、遺言書を他人に預けるのも一手です。

なにぶん、財産に関する話が絡んできますので(普通は・・・)、その金目当てのために、思った通りに展開しない可能性も見極めなければなりません。

例えばですが、預かった方がお元気であることも大切です。

順番が入れ替わるようなことがあっては、イザというときに、結果的に発見されない可能性も出てきますので。

その他、その預けた他人がうっかり捨ててしまった、捨ててはいないが管理が悪くて直ぐには提出できない状態にしてしまった(無くしてしまった)、遺言書の存在を近親者に言いふらした(言いふらしただけなら問題はありませんが、それを手渡した)などなど・・・、それはそれで何かと問題が起きる可能性があるという点を考慮しましょう・・・、としか、具体的には、ここでは書ききれないぐらい、いろいろな展開が想定されます。

もちろん、頼む相手の性格等を見極めて依頼するでしょうから、いわゆる誠実できちんとした方、ということであれば、それほど問題は発声しないだろう・・・というのが一般的だとは思います。

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士業者に預ける場合ということであれば、ほぼほぼ間違いなく費用請求はされると思っていてください。

完全なる無償ボランティアで預かるってのは考えづらいので・・・。

ただ、何か月額で依頼している案件がある場合(税理士に顧問依頼をしている、とか)は、その料金に含める形で預かってくれる可能性はないとは言えないかもしれませんので、先ずは士業者に相談からでしょうか・・・。

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ここで、注意が必要なことは、銀行等の貸金庫に預けるのは、この遺言書に限ってはリスクがありますよ、ということになります。

なぜかといいますと、貸金庫に預けて、その貸金庫を開扉できるのは、当然ご本人様だけですよね。

そのご本人様から相続があった際に、誰にその貸金庫の開扉をする権限を渡すのか、ということを遺言書に記載するぐらいなので(記載すれば、手続きがスムーズにいきます)、その遺言書を貸金庫に収めるということは、いわば、車の中にキーを入れたまま車をロックしてしまうのと同じような状態になってしまいます。

貸金庫だから安全だといえば、その通りではあるのですが、ご本人不在の場合は、安全すぎて開けられない、ということをイメージしておいてください。

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さて、そこのあたりまで考えますと、②や③も有効な選択肢に浮上してくるように思います。

②と③の違いは、②は自分が遺言書本文を直筆で書いて(財産目録など、一定範囲は直筆でなくても構いません)、法務局に預けるというものです。

③については、封をする封筒に署名を書く以外は直筆である必要はなく、パソコン等で財産目録だけでなく、本文全文を作成しても構いません。

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②の法務局に預ける際の費用は、わずか数千円ほどです。

手続きには、法務局にご本人が出向かなくてはなりません。

法務局と言っても、この遺言書を預かってくれる業務を行っている法務局は、概ね都道府県に一か所しかありませんので、ご本人が出向くといっても、法務局までの移動時間を要する場所にご自宅がある場合は・・・、法務局の往復が一日がかり(下手すれば宿泊)の地域もあることでしょう・・・。

法務局では、ごくごく形式的な内容チェックはしてもらえます。

日付は書いてあるか(年月日で書いていないと基本ダメなんです)、氏名と押印はあるか、とか・・・。

しかし、ここが②の最大のリスクなのですが、そもそも、遺言書本文の内容が、法律的に妥当とされるかどうか、という観点でのチェックはされません。

それなので、形式的な面では問題はない点はメリットですが、そもそも、この規定だと法律的に無効でしょ・・・、という内容の遺言書も、そのまま預かってくれますので、実はイザという時に使えない遺言書だった・・・という事態も発生します。

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これは①②④共通の事項なので、ざっくり言ってしまいますと、こちらの記事でご紹介した書籍に書いてあるケースに該当する方がその文章例でOKと思った場合にのみ利用できるのかな、という気がいたします。

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それは嫌だ・・・、ちゃんと遺言書の保管もしてもらい、なおかつ内容も法律的にいきなり無効ってのはないようにしたいよね・・・、という場合は、見かけ上、費用はかかってしまうのですが、迷わず③を選択しましょう。

公正証書遺言であれば、公証人という、元裁判官など、法律のプロの方が定年退官後などに就いておられますので、法律的に問題があるような内容を作成することは、まずもってあり得ません。

そのうえ、公証役場で原本や電子データ(スキャンしたもの)を保管していますので、未曽有の大災害が発生しない限りは、遺言書自体が亡失するようなことはないでしょう・・・。

また、検索システムもありますので、公証役場で遺言書が保管(登録)されているか否かの確認は、イザという時に、遺された方からの調査も可能です。

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ちょっと話の腰を折るようですが、①②④の場合であっても、士業など、遺言書作成に精通している専門家に下書きを依頼したり、あるいは、ご自身が書いた遺言書をチェックしてもらう、という方法はあります。

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さて、公正証書遺言を作成している点は、親族の方には情報共有しておいた方が、なにかと宜しいかとは思います・・・。

それは、①②④の場合と異なり、プッシュ(何も手続きをせずとも自動的に行われる、という意味です)で役所から相続人に対して通知が行くことはありませんので・・・。

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ここで、主旨が間違わないように追記しておきますと、そもそも論として、①②③④すべてのケースにおいて、遺言者の死亡届を出したとしても、役所からプッシュで遺言書の通知が行くことはありません。

①については当然なのですが、②③④についても通知が行くわけではない点に注意してください。

それは、死亡届を出した時点で相続人が確定しますので、②③④場合であっても、あらかじめ、この人たちが相続人なんです、という形では確定できないためです。

また、死亡届が提出されるたびに役所側で誰が相続人なのかを自発的に判断する・・・という仕組みはありません(手間のかかることなので、その人手を計上できないからとも思います)。

よって、遺言書を書いたことを予め伝えておきませんと、それはイザという時に誰も知らなかった・・・つまり、遺言書は存在していなかったのと同義・・・という事態になります。

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そして遺言書の存在を知られることなく、遺産分割協議が行われたりします。

相続人全員で行った遺産分割協議は、遺言書の効力を法律上、上書き(否定)することができますので、ここがポイントとなることを知っておいてください。

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さて、それじゃ、なぜ、先ほど「①②④の場合と異なり、プッシュで役所から相続人に対して通知が行くことはありません」と書いたのかと言いますと、次の理由によります。

まず、大前提として、①②③④すべての場合について遺言書の存在は知られている、ということは申し上げました。

そのうえで、①④は、遺言書(基本的には封筒で厳封されている状態とされています)を裁判所に提出して、遺言書の存在を裁判所で認定してもらう手続き(検認)を行わなければなりません。

この検認の申請においては、相続人が誰であるのかについて戸籍謄本と共に、相続人住所の一覧を提出しなければなりません。

この相続人一覧の住所に対して、裁判所から検認を行う旨の通知が行くことになるのです。

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また、②については、遺言者が亡くなった後、検認は要りませんが、法務局で遺言書内容の証明書を発行してもらうなどの手続き時に、検認時と同様に、戸籍謄本や住民票の写しの書類が必要になります。

そして、法務局で相続人が各種手続きを行ったことが、その際提出した住民票記載住所に向けて全員分郵送にて通知されます。

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一方、③については、何も通知はされません。

公正証書遺言を作成した時点で、正本と謄本が受領できますので、それを大切に保管しておけば、検認も要らずに、(内容にもよりますが)直ちに遺産分割の手続きを実行することが可能なのです。

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と、いろいろと書いてしまいましたが、とにかく保管の観点で遺言書を①~④のどのスタイルで作成をしたら良いのか、ちょっと考えていただくのも宜しいかと存じます。

なお、迷われましたら、当事務所までご相談いただければと存じます。

チラシをご提示いただけた場合は、一定の条件で、初回ご相談等は無料とさせていただいております。