自分達(セルフ)で公正証書遺言を作成しました!

先日、こんなご夫婦と面談をさせていただきました。

なんでも、ご自身(達)で自ら公証役場に行って、公正証書遺言を作成したのだそうです。

そのご相談者様には、要するにお子様はいらっしゃいませんでした。

そうなりますと、通常ですと第三順位相続となりますので(その後、養子縁組しました、というような事象でも起きなければ)、その対応自体は、将来を見据えてのことだったと受け止めております。

・・・が、そういった入念な準備をされている、ご夫婦が、なぜ、わたくしと面談をすることとなったのか・・・。

それは、ご夫婦お互いが相続開始となれば、残りの方(生存配偶者などと言ったりします)に全財産を渡す、といったような内容にされた、ということでした。

しかし、その後、気が付いたそうです・・・、そういえば、二人目が相続開始となった場合はどうなるのか?と。

はい、ここで、この記事をわざわざ書かせていただいた理由となります。

①ご自身で遺言公正証書(自筆証書遺言も同じことですが)を作成した場合、先々のことをシミュレーションしての作成が難しい、という一例としてお分かりになろうかと思います。

つまり、経験豊富な専門家に相談して作成支援を受けた方が良いのではないか、ということなのかもしれません。

②公証役場にて作成とありますので、少なくとも法律的な形式面では要件を満たしているでしょうし、実質的にも一見して問題がある内容ではないのは(公証役場で作成している以上)本当であろうと推察されます。

しかし、同時に公証役場に作成に行っているはずなので、本来であれば「それじゃ、二人目が亡くなった時はどうしますか?」というコンサルティング的な部分があっても良いようにも思われますが、基本的には、公証役場では依頼人が言ったことの証書を作成する形になるので、そこまで論理的な検討をしてくれるのかというと、未知数の部分が多くなってきます(もちろん、全くコンサルティング要素が期待できない、という主旨のことを、ここで書いているわけではありません、念のため)。

たまたま話題とならなければ、それは当然、公正証書には反映されない、という意味のことを言っています。

しかし、わたしどものような立場の者の場合は、遺言書作成支援を生業としておりますので、単純に「そこの部分は観点から抜けていましたね(笑)」では済まされない、という責務もあるわけです(もちろん、その可能性を指摘したうえで、あえて依頼人が公正証書遺言への記載を行わない、という選択はあり得ますし、それは至って当然の営みと考えられます)。

これは、公証役場の公証人の本来的な使命は依頼人(嘱託人)が申述した内容に沿った公正証書を作成するのが本務であるということ、これに対して、わたしどもは依頼人が将来的に笑顔でいられる遺言書作成支援(その結果としての遺言書原本作成)がなされることが本務(期待し要求される到達点)である、ということの総意だと思っておりますので、どちらが良い悪いというものではありません(ちょうど、公証役場に行くための公共交通機関は、安全無事に目的地まで送り届けるのが本務であり、公証役場での出来事には関与しないというのと似ていますかね・・・、少々わかりづらい例えかもしれませんが、情報工学的な言葉を用いるのであればレイヤが異なる、ということです)。

こうした点からも、経験豊富な専門家に相談して遺言書を作成するメリットは大きいと思っております。

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ありがとうございました。