戸籍請求が様変わりするかもしれませんね

以前、こういった記事をネット上で拝見したことがございました。

法務省からの資料はこちらとなります。

わたくしの肌感覚ではありますが、この改正によって、今現状で遺言書作成や遺産相続における戸籍請求については、相当楽になるのかな、という気がしております。

おそらく、現状で、それほど争いのないようなケース(争いがあれば、そもそも弁護士でないと業務受任できませんが)について、何が手続き上ネックとなるのかといいますと、それは戸籍請求かなと思っております。

現状では、戸籍請求者側からしますと、ありとあらゆる役所にて保管している戸籍情報について、いちいち、その戸籍の存在する役所にアクセスして、戸籍の発行をしてもらわなければなりません。

近所であればすぐに行くこともできるのでしょうが、遠方の場合は往復の郵送料と定額小為替等の送金手続きや手数料も必要となります。

また、転籍回数が多いようなケースですと何か所にも戸籍請求をしなければなりません。

もっとも何を以て多いか少ないのかと捉えるのかではありますが、生まれてから結婚して家庭を築かれた方を想定しますと、原理的には、出生時戸籍、婚姻時の戸籍の2通は絶対に必要となります。

それ以外に、電算化前の戸籍(台帳形式で管理されていた戸籍)の場合ですと、平成、昭和、大正など、何十年に一回は戸籍の再編製が行われていますので、それらの時代に応じた戸籍が途中で加わってきます。

これは役所都合で戸籍の再編製が行われているわけですが、こういった場合にもその除籍謄本申請手数料は発生します。

といったところで、おおよそ、戸籍の再編製分を追加して4通程度が最低通数になるのかな、と勝手に想像しております。

もちろん、転籍、離婚、再婚、養子縁組など、戸籍の異動が発生すると、その分、取得通数は増えます。

以前は電算化されていなかったり(コンビニ交付が無かった)、あるいは郵送請求が無くて直接役所窓口に行かなければならなかった時代背景もあって、転籍については思っている以上に実施されているのかな、というのが肌感覚です。

住民票ではなくて戸籍が必要になる局面って、日常生活ですと限られている・・・もしかすると旅券申請ぐらいですか?・・・と思うのですが、転居ついでに転籍もしておこう、という話になったのかもしれません。

さて、本題に入りますが、現在でも既に「その役所内で取得可能な戸籍であれば、範囲(出生~婚姻、出生~死亡、など)を指定して、戸籍取得について一括して依頼することは可能」という状況です。

これのメリットとしては、要するに戸籍の再編製が行われた戸籍があったとしても、プロ(=役所の戸籍係の担当者の方)目線で連続した戸籍の取得を(同じ役所内で取得可能という限定条件はありますが)一括して依頼することができる、よって、依頼者側(=一般市民側)に特段、戸籍に関する深い知識はあまり必要とされていない、ということになります。

それが全国版になります、ということになるわけですね。

よって、おそらくですが、数年後には、もう戸籍請求のために郵便局に定額小為替を買いに行ったり、今でこそ郵送時はレターパックという便利な商品がありますが、その昔で言えば書留発送をする、切手を送って、それから封筒自体も購入しなければならない・・・などといった、煩雑な事務作業が、昔の風物詩として語られるような事態になってくるのではないかとも思います。

そもそも論で、個人番号(マイナンバー)だけ書類に記載すれば、法務局での相続証明情報が作成してもらえるようになるかもしれませんね。

そういう時代にまでなってきますと、おそらく、戸籍請求を士業者が代行して、その手数料を頂戴するようなことも極端に減ってくるのかも・・・しれませんね。

それから見逃せないのは、役所の戸籍係の方々の負担についてです。

その戸籍の紐づけについては、さすがに平成、昭和、大正などといった再編成も経て、更に婚姻等の戸籍異動発生時も超えて自動紐づけがなされることはないと思いますので(ひょっとしてAI化されそうですかね、確かに名寄せのAI化は親和性はありますものね)、左記記載したようにAI化などで、作業支援システムが組まれるまでは、一時期、役所の戸籍係の方は、それまでであれば、その役所内で取得可能な戸籍に限定されていたのが、今後は「〇〇さんの法定相続人全員の戸籍を一括請求したいです」なんて申請が出され、それが数名レベルであれば未だしも、今話題となっている相続登記未済問題のように、法定相続人が何十人もいますよ!なんて相続登記をやりますね、なんて話に連動して、このような戸籍請求がなされてきますと、膨大な作業負担が戸籍係の方にのしかかるのではないか・・・大規模役所であれば未だしも、町村の人出の足りない戸籍窓口でこれやられると、もはやお手上げなんじゃないのかな・・・なんて、ちょっと余計なお世話な想像をしてしまったものでした。

想像(妄想)逞しいと思われるかもしれませんが、わたくし、エンジニアとしてシステム設計に携わっておりまして、そのシステム設計(基本設計)の肝は、想像力豊かに、アレコレ、どういった顛末になっていくこと予想できますか?という点が、実は一番大事なスキルなのかなと思っております(別に自画自賛というわけではありません)。

この基本設計ができていませんと、あとで、必ず最初のシステム設計時に思いもよらなかった事態に展開していったり、極端な利用方法をされたりして、その都度「使えない!」とお叱りをいただく可能性もあるわけなんですね。

なので「風が吹けば桶屋が儲かる」式の思考回路は、実は、こういった局面では有効だったりします。(笑)

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ありがとうございました。