行政書士は文書の作成が業務の主な柱と理解しておりますが、行政書士会への入会にあたって、行政書士印を作成することが条件となっております。
神奈川県行政書士会の場合は、一辺が15ミリメートル以上の正方形(角型)であって三行(行政書士/姓名/之印)で構成されていることが条件である旨、入会申請書類の提出時に教えていただきました。
行政書士会経由で職印を発注することもできるのですが、自前で手配しても構わないとのことでした。
わたしは、さしあたり行政書士会経由での発注はせずに、たまたま、最寄り駅の一つである金沢八景駅前を歩いていた際に、たまたま目に入ってきた印章店で作成をお願いすることにしました。
これは、なんとなくではありますが、行政書士は比較的地域性の強い業種であろうと想像をしておりまして、それであれば、わずかな費用であっても地域店に還元することにより、その場という意味ではないとしても、何某か地域でご縁をいただくきっかけになるのではいかと考えたためです(もちろん、すべての業務用品を地域内のみで調達するのはなにかと大変なので、あくまで心がけとしては、という感じにはなりますが・・・)。
さて、陰影と書体とサイズをお伝えして、作っていただくことにしました。
さすがに全部手彫りの印章だと、相当高額な代金となってしまうそうですが、ある程度は機械で彫って、その先の工程を職人さんが手掛けるということをおっしゃっていました。
印章彫刻一級技能士という旨が掲示してあり、資格や階級の詳細については存じていないのですが、やっぱり職人さんが手掛ける作業というのは、わたしはとても好きなので(IT通信業界ですと、どちらかというと論理的な状態を扱う方が多くて、デジタル描画など手先の微妙な感覚による職人芸という業務要素がそれほど存在していないからなのかもしれませんが・・・)、とても楽しみにしてお店を後にしました。
数日後、印章が仕上がりました、というご連絡をいただいたので、ではさっそく受け取りに伺います・・・ということでお店を訪問したところ、職人さんが「氏名の行を少し大きめにしておきましたよ」ということをおっしゃいながら、仕上がった職印をお渡しくださいました。
わたしは、ただ単純にこういった印章(角印)の文字は、各行は均等間隔なのかなと勝手に思い込んでいたので、へぇーと、さらりとおっしゃっていた言葉を反芻しながら、受け渡しの袋に押された試し印の印影をみて、あっ、確かに氏名の行が太いと思って、なんといいますか、結構、感動しました・・・。
行政書士之印自体は、まぁ、他の行政書士の方も同様に彫り込まれると思いますので(サイズや書体は違えど)、他と少し差別化を図るのだとすれば、それは氏名という発想が、もしかしたら印章業界では普通のことなのかわかりませんが、そういった一種の融通の利かせるご配慮に本当に感謝いたしました・・・。
少々話は変わりますが、わたしは電子署名の仕組みから始めて、ある類似の設計実装も行っていたことから、今の世の中の趨勢である押印廃止の流れは、ある程度合理性があるのかな、などと思っていたのですが、実は、押印ってきわめて合理的な側面がありまして・・・その印章の管理が、その押印する名義人の信用につながっているように思っていました。
といいますのは、外国の会社との契約ですと、日本側も押印ではなく契約締結者の署名となるのですが、この署名は代筆ができませんので、そうなりますと、本当にご本人が在席している瞬間を見計らって、うやうやしく署名をしていただく、という作業工程が発生します(その前に、いくら、電子決裁で承認済となっていたとしても)。
この点、記名押印ですと、実は本人の意志が確定して表示されていれば、あとは押印作業は実際に印章を管理している管理者が契約締結者の代理として押印をすることができるわけで、このような業務処理形態ですと、実は電子決裁との親和性があるといえばあるわけです。
もちろん、電子商取引にまでシステム構築できている会社間取引なのであれば、電子商取引の方がさらに利便性が高いことは言うまでもありませんが・・・。
今回、作っていただいた職印は、実際の業務で押印する機会があるときは、この時のことを思い出しながら使用したく思います。
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ありがとうございました。