最近、何度か遺言書説明会を開催させていただいております。
そもそも、法律上の手続きは原則本人が申請するという考え方が通底しているようです。
よって、ご本人が申請する場合は、その手続きの内容にもよりますが、該当する行政窓口において一定の説明を受けられることが期待されます。
といっても、これもまた何とも言い難いところではありますが、これらの手続きについては、通常、法令によって規定されており、その法令はすべて公開されています。
となると、行政側の思考としては、その公開されている法令を自分で(先に)確認をしてから、行政窓口で手続きしてください(もっと言えば、知っているんですよね、という感じでしょうか)、という方向性があるようです。
そして、今は情報化社会ですので、出版物もありますし、ネット上で検索すれば、志ある方が様々な行政手続きについて解説しているサイトや動画投稿なども多くヒットするようです。
これと冒頭の自筆証書遺言と何が関係があるのか?ということですが、結構密接に関係はしてきます。
自筆証書遺言については自分で書けますので(それも、きわめて低額なコストで)、何らか書き残すことはできます。
問題点は、法律上の形式に則って作成する、ということになりますが、最大の問題点は、何か誤記や書き足りない点があった場合に、本人が修正したり、その意味を説明したりすることができない、ということになります。
動画で遺言書と同等の法的効果を得られるよう残すとかできればいいのかもしれませんが、まだ、法律や判例としては動画については有効と認められていません。
それから、書籍等で書かれている文例は、参考にはなります・・・が、多少の前提条件の変化であっても、追随できない場合もあります。
それなので、本当のところ、その文例のままを参考に作成してよいのかどうか・・・にわかには判断が難しいところではあります。
もちろん、公正証書遺言にすれば、法律上の不備という点ではほぼ問題がない状況にはなろうと思っています。
ただし、公証人に対する法令に基づいた一定の費用は発生します。
誤解を恐れずに言えば、様々な制度設計については、一定の専門職の介在を前提とした行政手続きの仕組みがあるようにも思えてきます。
だから、専門職(遺言書作成で言えば、行政書士などの士業者)に依頼するという方法が一番無難な選択というアピールもできますが、ここでお伝えしたいのはそういう側面ではなくて、ご自身で自分であればやれる!と思っておられる方ほど、この遺言書作成については多少慎重に判断された方がいい場合もありそうだ・・・、ということを申し上げておきたく思います。
その理由ですが、上記で書いた通り、遺言書の場合は実際に有効になるということは、既にその遺言書内容について言及できない状況になっている、ということに尽きます。
これが通常の行政手続きであれば、ご本人が行政窓口等で自らの本当の意思を伝える方法もありますが、それができないという点がパラドックスめいている・・・、ということなのかもしれません。
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ありがとうございました。