危急時遺言と自筆証書遺言につきまして

遺言書の作成は、基本的に遺言者が元気なうちに作成しておく、というのが推奨となります。

元気、という意味には、幾つかのケースが含まれますが、先ず一般的には、文字通り、特段、重篤な病気や症状ではなく、精神的な観点でも特段問題は無い(意識があって、認知症に類する症状があるわけでもなく、さらに認知症と診断されていないか認知症が進行していない、その他、心身上の診断や症状が無いなど)というイメージが想定されると思います。

詳しく書こうとすると、要するに遺言能力があるかどうか、といった言い方になってしまうのですが、ごく普通の日常生活を自立して過ごせるのであれば、それほど問題になることも無いと思います。

そして、こういった場合であれば、普通方式の遺言ということで、公正証書遺言や自筆証書遺言を作成するのが一般的だと思います。

(もちろん、自筆証書遺言は、特定のケース以外は、当事務所としては推奨していません。)

さて、特別方式の遺言って聞いたことがありますか?

船乗りの方や、死期が迫っている、伝染病などで隔離されている方などが作成するようなケースになります(わかりやすく書いています)。

こうした場合のうち、特に死期が迫っている場合(一般危急時遺言)は、もう、とにかく急いで作成する、というのが基本となります。

なぜなら、亡くなってしまっては(その前に意識が無くなるのかもしれませんし)、もう遺言書は作成できないからです。

この場合、証人を3人手配しなければなりません。

また、遺言者が遺言内容を口頭で証人に伝えるという作業が必要になりますので、話せることが前提となります。

ただし、話せなくても(発語できなくても)手話であればコミュニケーションができるような方については、手話通訳者(この通訳者は証人のうちには含まれません)を介してやりとりする形となります。

ごくごく稀に、病気によって手術を受けたため、話すことができない状態の方がおられると考えております。

このような場合ですが、例えば、証人が遺言内容を話して説明することで、遺言者が頷く形で遺言として認められるのかというと・・・認められなかったという判例があるようです。

従いまして、このような場合については、一般危急時遺言が適用できない可能性が高くなるように考えられます。

それでは、こうした場合、どうするのか・・・非常に難しいところではありますが、一つの解決策としては、(もしかしたら元気な頃のような筆跡で文字を書くというのが難しいとしても)文字は書けるということでしたら、自筆証書遺言の作成を検討するのも一手かとは思います。

その場合、あまり凝った内容での作成は厳しいと思われますので、極めて簡潔にかつ自筆証書遺言の法定要件を満たし、さらには遺言内容が有用である必要はあります。

当事務所では、こうした、緊急時の遺言書作成のサポートも行っております。

(ただし、通常時の遺言書作成報酬ではなく、特急対応加算をさせていただくことがありますので、予めご了承ください。)

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ありがとうございました。