お客様の意思決定の証跡を残すことは大切です

お客様への詳細なご説明と意思決定の証跡を残すことは大切なことであると再認識いたしました。

実は、あるお客様より、とある行政書士事務所が受任した遺産分割案件について、これって妥当だと思いますか・・・?、というセカンドオピニオンを求められました。

ここでは、当然その詳細は書けませんし、その妥当性について当事務所がコメントするようなことはございません。

しかし、当事務所は上述のような行政書士事務所とは異なる点という意味で、皆様に強調しておきたいところはございます。

当事務所の場合は、お客様との間で基本的に業務開始前に委任契約を締結していただきます。

案件内容により、契約書には、署名実印+印鑑証明書、署名押印、記名押印、署名のみ、という段階にて、お客様にはご理解をお願いしております。

もちろん、業務種別により相対的に簡易な内容で済ませる場合もあれば、時間をかけて入念に作成する場合もございます。

いずれにしましても、後日、お客様及び当事務所が、お互いに独立して受任案件について振り返ることがあるとは思っています。

依頼者様の場合は「あれ?!これって何でこうしたんだっけ?(なぜ、そのように判断して案件を進めたのか?)」と思い出して再度委託業務の経緯を確認される機会もあるでしょうし、当事務所の場合は受託業務の妥当性を仮に第三者(例えば、行政書士会その他団体等)に法令等に基づいて開示する場合であっても十分説明が可能であるように対応することを意識しています。

このような主旨より、必ず業務開始前に見積書を提示(もしくは見積金額を口頭でご案内)したうえで委任契約を締結していただいております(単なる一般論として、ある法律処理に関する説明や相談業務を単発にて行う・・・、などの例外的な場合は除きます)。

この委任契約においては、納入物、報酬額、支払条件、解約条件の他に、当事務所が実施する業務(当然、お客様のご意思が反映されていますので、頼んでもいない業務を含めることはありません)が列挙されていて、逆に、お客様側でご協力いただくべき事項についても列挙しております。

この委任契約に基づいて当事務所は業務遂行をして参りますし、この委任契約に至るまでのお客様との相談段階の内容などについて、議事録として書面交換することもございます。

これは、契約書文面のみですと最終合意内容のみが記載されているだけで経緯が書かれていないためです。

また、契約後の業務対応過程においても、当事務所が必要と判断した場合は、補助的に議事録を作成することとしております。

詳しく申し上げますと、案件作業中に契約の前提と異なる状況が発生した、あるいは、お客様から追加のご要望等の提示をいただいた場合は、技術屋風に言えば「仕様変更とみなして」議事録を作成したうえで、その経緯を明確化するようにしております。

議事録には、お客様から当事務所への説明内容の通知という体裁の書面により、最低限お客様のご署名はいただいております(場合によっては、上記にならい、署名実印まで段階あり)。

海外企業との契約締結の場合は、その背景から成り行きなどが子細に契約書の前文中などに記載されている場合もあるのですが・・・、日本国内での契約書といえば、そういった観点は記載しないことの方が一般的ですよね。

余談ですが、過去、見積書に見積条件として、子細に案件の背景等を書いてこられた国内企業の方もいらっしゃいまして、その理由を伺ったところ、契約条件に影響を与える主旨ではないが(その契約書には、契約締結以前の約定は一切破棄という条項が入っていますので・・・法務部が作成したひな形なので当然ですね!)、何らか後日の疑義が発生することを防止するためだ、ということでした・・・ということで、当時、大変参考になったものでした。

よって、実は、この見積書や契約書類の作成工数は結構かかりますが、そこも含めて、お客様への見積金額に含めさせてご提案させていただき、ご納得の上、契約締結いただいております。

もっとも、契約書面作成だの、議事録作成だの、見積書作成だの、といった項目立てになっているのではなくて、あくまでも、受任作業でいただく費用の中より、上述のような事務処理費用も含む形で適用している、という考え方にはなります。

以前より、再三申し上げており誠に恐縮ですが、わたくしの感覚としては、それが一般のお客様であっても、法人様であっても、どちらにしても、意思決定や対応する費用、それから書類の受け渡しに関する記録については、遺漏なきよう、かつ、後日の検証(当事者間であっても、第三者であっても)に耐えうる程度の証跡を必ず残すようにしております。

まぁ・・・これは、技術屋業界にも比較的ありがちなのですが、モノの開発を終えたら「良かったね!おめでとう!!」なんて感じで、盛り上がるのですが・・・、実は、チェックマンによるチェックという観点では「ナンですかこれ?」的な事務処理をしていたために、後任者とかが後年苦労する・・・といった事象もあるわけなんですね。

そういうことで、実は、わたくし自身、行政書士とは全く関係のない場所ではありましたが、そういった経験をさせていただいたことも少なからずございました。

それなので、わたくしのモットーとしては、会社員としての仕事については、とにかく後任者に迷惑を掛けない、という点を第一に考えております(余談です)。

このため、事務所を開業したからには、当然、一挙手一投足の全てについて、第三者目線でのコンプライアンス意識とチェック目線というものを片時も忘れてはならないものだ・・・、と思っております。

繰り返しになりますが、上記記事で申し上げたい点としましては、あくまでも当職が当事務所運営の留意点に関する説明であって、他行政書士事務所の対応等について当事務所から何かを申し上げるといった主旨ではないことは、改めて記載をさせていただきます。

どうもありがとうございました。

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ありがとうございました。